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社会的性差別の共同幻想

強姦も買春も、性欲ではなく、女を侮辱することが動機であるから、そうできないことになれば、男達は強姦や女を侮辱することを動機とする買春をやめるであろうと言うことは推察できる。
しかし、男達が強姦や買春によって女を侮辱しようとするのも、そのよりどころとして、性交を男が女を侮辱する為の手段として使うことが出来るという社会の共同幻想があるからであって、この共同幻想がある限り、強姦された、または買春させられた女が、個人として、強姦や買春は屈辱ではないと言い張っても、或いはそう考えても、なかなか屈辱感を払拭することは出来ない。そして、女の屈辱感の匂いを嗅ぎつけて、ある種の男達は強姦や買春をやめないのでは無かろうか。

例えば、人種的差別が強い社会において、被差別人種が侮辱的言辞を吐かれた時、その侮辱的言辞を気にすまいとしても、やはり気になってしまうのではないだろうか。被差別人種がその侮辱が気になり、ひどい心の傷を受けるのは、それが被差別人種の劣等感と共鳴する為であるから、被差別人種自身がこの劣等感から完全に脱却すれば、彼への侮辱は気にならなくなるであろうが、人種的差別が強い社会では被差別人種もその影響を逃れるのは難しく、劣等感を持たないでいることが難しいと思われる。

同じように、性差別においても、社会の性差別的共同幻想を完全に克服できた時には、女を強姦して侮辱してやったと思う男はいなくなるのであると思われる。
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