彩の窮地
彩は自分の恥かしい写真を見せられて動揺を隠せなかった。
あの時のいやらしい、屈辱的な責めが脳裏によみがえってきたのだろう。
一度だけと思って受けたあの責めを再び受けなければならない状況を彩は思ってもいなかったのだ。
痛みや苦痛には立ち向かえるが、あの痒みに耐えることは至難の業だ。彩はそれを身をもって知っているのだ。
それに鬼縄という男は、痒みに悶える自分の姿をいやというほど楽しむに違いない。その間、あの痒みに狂わねばならないと思うと総身の毛が逆立つおぞましさを彩は感じていた。
この男は私が自ら屈辱的な恥かしい哀願をしなければ、おぞましい痒み地獄から解放してはくれないだろう。痒みに負けて哀願をせねばならないくやしさをまた味あわなければならない。この男が鞭でも使ってくれた方がどんなによいか。まだ苦痛に屈服する方が救われる。
この鬼縄の申し出を断わったら、この男はきっとこの写真を利用して私を窮地に立たせることをするだろう。顔まではっきり写っている恥かしい写真をネットで公開でもされたら、それこそ困る。
私を支えてくれている私の奴隷。。私の友人。それにSMをしていることを隠している私のフィアンセにも知られることなったら、それこそ家族をも巻き込む問題にまで発展しかねない。それは困る・・・・・。。それは困るのだ。。それだけは避けなければならない。
ふふふ。。。
彩さん。何を思案されているのですかな?
ところで彩さんには妹さんがいらっしゃいましたよね?
妹さんにこの写真を買っていただこうかな?
ふふふ。。。。。
なんということか。この鬼縄という男はどこまで卑劣なことを考えつくのだろうか。
彩に選択の余地は残されていなかった。
では部屋に参りましょうか。彩さん。
今日もこの媚薬を彩さんのために持参してきているのですよ。
ふふふ。。。。。
鬼縄は上着のポケットから、小さな茶色の小瓶を取り出して彩に見せるのだった。
| 彩の場合 | 09:20 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑