彩の弱点
そしてあれ以来、このレストランで彩と共に食事をするのは二度目のことだ。
粗野な私がエレガントで美しい彩をエスコートするのは、誰の目にも不釣合いなカップルと映るだろう。
凛とした立ち振る舞い。高級レストランに入っても気後れする様子など微塵にも見せない彩の態度は、前の時と全く変わっていない。
ここまでは前と変わらない。。。。
彩のワンピースの下で、電動リモコンバイブが2つの穴を埋めていること以外は・・・・・。。
俺は、彩に受けたあの侮蔑を忘れてはいない。
取り澄ました顔で、俺のディナーでの態度に席を立ち、俺を馬鹿にしたことを私がそのままにするわけがないのだ。同じ場所で、彩に恥をかかせねば俺の気持ちが治まらないのさ。。
ふふふ。。。。。
彩は出迎えのギャルソンにいつものように微笑みはしたが、内心体裁を整えようと必死だった。
女の最も恥かしい2つの穴にリモコンバイブを装着されていることなど、おくびにも誰にも悟られてはならぬのだ。こんな卑劣な責めに負けるわけにはいかなかった。
プライドが高いということは、逆に致命的な弱みとなる。プライドを棄てればどんなに楽になることか。
気位の高い女ほど、責めには耐えてくれるものだ。私にとって彩は恰好の獲物であった。あっさり俺の軍門に下るような女であれば、俺はここまで執着しなかっただろう。しかし彩にはそれができない。出来ないからこそ俺は彩に執着するのだ。
このパラドックスに彩は気付かない。そこが彩の弱点なのさ。。。
私は彩にリモコンバイブを宅配便で送っていたのだ。もし装着せずに来たなら、という脅し文句を添えてね。
彩は気がきではなかった。リモコンバイブが送られてきた時点で、鬼縄の目論みは充分察知していたが、写真という決定的弱みを握られている以上、それを拒むことは出来なかった。
彩に出来ることは、このリモコンバイブの効果に耐えることだけだったのだ。しかし彩も生身の女である。果たしてリモコンバイブの刺激に耐え抜くことが出来るであろうか。彩自身、その自信はなかった。
鬼縄という男は何を思いつくかわからない男だ。女を責める事に関しては天才的な男だ。彩は充分それを身をもって経験している。リモコンバイブをより有効に使われるだろう。そんな恐怖に彩は苛まれるのだった。
彩はテーブルまでの道のりを長く感じていた。この男がいつリモコンのスイッチを入れるだろうか。スイッチを入れられた時、私は平静に振舞えるだろうか。周囲に絶対に気付かれてはならぬのだ。
そんな思いで彩は、ギャルソンの案内に従って、テーブルまでの道を歩むのであった。
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