私の好む情景―鬼六の小説からの引用
「女の嫌がることを無理矢理させるのが、わいらの趣味や」
団鬼六の官能小説には、きわめて劣悪な金融業者や調教師が、加虐者として登場する。そのネチネチしたいたぶりの言葉が嬉々として綴られるのであるが、私の求める情景を誠に描いてくれている。
私の好むSMの情景の原点は、やはり鬼六の小説にあると言っていい。私の求めている情景を鬼六の小説から引用してみることにする。
次に私好みの被虐のヒロイン。
『肉体の賭け』(1976~8)の、東京・初台の料亭『松風』の絹代
絹代は淡い藍の小紋を着て、塩瀬の銀箔の帯を締めていたが、繊細で冷たく整った絹代の美しい容貌に、その小粋な和服がぴったりと調和がとれ、道行く人々には何とも?たけた美女に見えた。
その絹代に大口融資をしたのは関西商事の川村で、ヤミ金融業を営む元暴力団員の塚本や、悪名高き悪質金融業者の金成順と組んで、乗っ取りを企んでいる。彼らが狙っているのは、『松風』の土地・建物と共に、美しい女将の絹代である。
「ああ、あんた、松風の女将さんでっか。絹代はんでっしゃろ。ハハハ、こらちょうどよかった。あんた、約束の時間まで、あと二時間でっせ。支度はそろそろ出来てまっしゃろな」
「悪魔の笑い」と言うが、弱い人間を相手にした時、悪魔にはそれだけ余裕があるのだ。
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