半年間のロマンス
麻由美とSMパートナーという関係になったとはいえそれはたかだか半年ばかりの間であった。そのわずか半年ばかりが私にとっては楽しい期間であった。麻由美の象牙色に澄んだ繊細な線を持つ頬や抒情的な翳りを持つ瞳を見つめて美術品を前にするような嬉しい一時を過ごすのである。私にとっては麻由美は良家の令嬢であり、いわば高嶺の花であることは分かりすぎている。しかし私は限られたその時間、その空間の範囲内で空想的な恋心さえ満たそうとしたのだった。思い上がろうとする気持ちは全くなかったのである。今までたいして女性にも全く相手にされなかった面相の悪い男がロマンスをする夢を賢明に描いていたと言える。
月に一度の甘美なSMプレイの後など、しばらくは麻由美のすらりと伸びた肢体や美しい容貌が脳裏に浮かび上がって胸苦しくさえなり、ふと、習性にななっている手淫をまた始めることになってしまう。私は性に目覚め始めた頃より自慰行為を演じる時は嗜虐的な妄想に耽るという変質的な性癖を持っていた。竹藪に連れ込まれて雲助に凌辱される武家娘、また憲兵に拷問部屋に連れ込まれていやらしい尋問を受ける女スパイ、そうした場面の情景は団鬼六の小説からの連想かもしれないけれど、私は美女が悪漢にいたぶられて羞恥に悶え苦悩にうめく場面を妄想すると欲望は一層の高ぶりを示し出すという性的な趣味を中学時代にははっきりと自分のものにしていたのである。
麻由美とSMプレイをしたとは言っても、プレイをリードするのはいつも麻由美の方であった。また禁止行為も多く、まさにサービスのSといえるものであった。私の思うようにはさせてくれなかったのである。それでも麻由美の悶える表情や縛られた姿は私の妄想を刺激するには充分であった。
それで、今、麻由美が医者の戸田良一と婚約するというメールを貰うと、私は全身からすっと力が抜け落ちた気分になったのである。
月に一度の甘美なSMプレイの後など、しばらくは麻由美のすらりと伸びた肢体や美しい容貌が脳裏に浮かび上がって胸苦しくさえなり、ふと、習性にななっている手淫をまた始めることになってしまう。私は性に目覚め始めた頃より自慰行為を演じる時は嗜虐的な妄想に耽るという変質的な性癖を持っていた。竹藪に連れ込まれて雲助に凌辱される武家娘、また憲兵に拷問部屋に連れ込まれていやらしい尋問を受ける女スパイ、そうした場面の情景は団鬼六の小説からの連想かもしれないけれど、私は美女が悪漢にいたぶられて羞恥に悶え苦悩にうめく場面を妄想すると欲望は一層の高ぶりを示し出すという性的な趣味を中学時代にははっきりと自分のものにしていたのである。
麻由美とSMプレイをしたとは言っても、プレイをリードするのはいつも麻由美の方であった。また禁止行為も多く、まさにサービスのSといえるものであった。私の思うようにはさせてくれなかったのである。それでも麻由美の悶える表情や縛られた姿は私の妄想を刺激するには充分であった。
それで、今、麻由美が医者の戸田良一と婚約するというメールを貰うと、私は全身からすっと力が抜け落ちた気分になったのである。
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