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鬼縄のSM blog(FC2改)

鬼縄のSMブログです。淫靡な妄想の世界を彷徨っています。

2008年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2008年05月

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罠に墜ちた麻由美

「こんばんわ」
麻由美は柔らかい微笑を口元に作ってドアの向こうに立っていた。
清純な白地に花模様の付いたワンピースを着てそれがしなやかさと妖しい官能味を持つ彼女の肢体にぴったり似合っていた。
会話はあの当時の二人の話題になったが、私はすっかり落ち着きを失って麻由美の言葉を上の空で聞いている。たった今、麻由美にすすめた生ジュースには強い睡眠薬を入れておいたからだ。
「なんだか、このジュース、変な味がするわ」
俯いて静かにストローでジュースをすすっていた麻由美は引き締まった美しい象牙色の頬を曇らせていった。
「気のせいかしら」
喉が渇いていたのか、ほとんどグラスのジュースを飲み干した麻由美は、
「でも、鬼縄さん。会社で逢った時なんかに私、ずいぶんよそよそしい態度をしているので怒ってらっしゃるのじゃない?」
社長というのは従業員の手前、会社にいる限り、誰に対しても冷静な身構えが必要なのよと、麻由美は説明した。
「実は、あの婚約披露のパーティの時だってあなたにも招待状を書いたのです。でも、姉の彩がこんなのは必要ないと外してしまったの。姉はあなたのことがどういう訳か嫌いなの。ごめんなさいね、ほんとうに」
久しぶりに麻由美と打ち解けあって話すうちにやはり麻由美という女は美麗だけではなく心根も美しい女であったのだと思い知らされた気分になる。
その人間的にも美しい麻由美を俺はこれから卑劣な手段でなぶりものにしようとしている。
もう矢は放たれた。麻由美は睡眠薬入りのジュースを飲んでしまったのだ。

「私、私、一体どうしたのかしら、変だわ」
麻由美は額に手を当てて立ち上がりかけたが、すぐにまたソファへ腰を落とすと、青ざめた表情でそのまま身体を横たえてしまった。
「どうやら、うまくいったらしいな」

| 麻由美の場合 | 08:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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恋慕の未練

私は凌辱してやろうという淫靡な野望を胸に麻由美に電話をした。
電話に出た麻由美は相手が私であるのに気付くと、
「まあ、お久しぶり、よく電話して下さったわね」
と懐かしげな声を出し、私は一瞬、拍子抜けした気分になったのである。そして、あれだけお世話になっていながら、最近はろくにご挨拶もせず、申し訳なく思っています、と、まるであの当時の彼女に戻ったように若々しい声で語りかけてくるのだった。
とまどいやためらいが生じるのを私は振り捨てるようにして、
「会社が終わってから1時間ばかり暇はありませんか。ささやかなものですが、婚約のお祝いの品を差し上げたいのですが」
と、声を震わせて言うと、麻由美は、まあ、と嬉しそうな声を出し、私のアパートの部屋に招くと、
「是非、お伺いしますわ。ちょうど、今日はそんなに忙しくないのです」
と、言うのである。

もうこれで賽は投げられた、と私は思った。
麻由美に電話した時、あっさりふられることを私は心の片隅では願っていたかもしれない。やはり、今自分はとんでもない悪事を働こうとしているという恐怖感があったからである。それほどに気の弱い自分を自分で情けなく意識しながらこうして事が運んだ今となってはくそ度胸を付けるべきだと私はしきりに自分に言い聞かせている。こういう行動に出たのには麻由美に対する腹立たしさから湧き出た理不尽な復讐心と共に、いやそれ以上に麻由美に対する恋慕の未練があったからであるのは間違いのないところであった。美しい麻由美をあっさり医者の良一に取られることへの抵抗でもあった。どうせ良一に取られるのなら、その前にとことん麻由美を凌辱し、汚してから渡してやろうではないかという嫉妬心も大きな原動力となっていた。

約束の6時から2時間ほど遅れて麻由美は私のぼろアパートにやってきた。麻由美は相変わらず時間を守れないようである。

| 麻由美の場合 | 02:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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