野坂昭如の『エロ事師たち』はポルノを生業にしている男達の哀歓を描いて絶妙に面白い作品であるが、エロ事師の一人、スブやんの次のような発言はまさにポルノのみならず、SMの本質を適切に言い表していて興味深い。「男どもはな・・・・・切ない願いを胸に秘めて、もっと違う女、これが女やという女を求めはんのや。
実際にはそんな女、この世にいてへん。いてへんが、いてるような錯覚を与えるのが、わいらの義務ちゅうもんや・・・・・・・エロを通じて世の中のためになる、この誇りを忘れたらあかん・・・・・・目的は男の救済にあるねん、これがエロ事師の道、エロ道とでも言うかなあ』、など。しかし、何故男達はこれほどまでしてペニスを勃起させ、性交したいのであろうか。女どもには到底理解できない欲望(性欲)が存在している。この欲望(性欲)の存在にこそ、大きな社会的、政治的問題が潜んでいるのである。ゆくゆく論じようと思う。
出来ることならこの欲望(性欲)を男達は放棄すべきである。放棄すれば社会的、政治的問題から解放されるのではあるが、残念なことにそれは一部の男達を除いては出来ないことであろう。
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