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2008.03.29 Sat
とにかく麻由美から婚約したとのメールを貰ってからというものは何をしても私は面白くなかった。麻由美に対していろいろな憤懣がこみ上がってくる。
麻由美とSMプレイを始めて6ヶ月ほど経った頃、突然二人の関係の解消を宣告された。今思えば医者の戸田良一との交際がこの時から始まったのであろう。私とのSM関係が良一にばれては困るからであろう。
たまに麻由美の会社に出向くことがあって、廊下で彼女とすれ違うことがあり、そんな時、彼女はやわらかい微笑を白い頬に浮かべて、如何、お元気、などと挨拶はするけれど、すぐに冷静な冷たい表情に返って社長室に入っていった。ほとんどその頃には麻由美が設立した会社も大きくなり、従業員や会社に投資する株主も増え、私が社長室に足を踏み入れることはなくなっていた。急ぎ足で社長室に戻る彼女の脚の線の素晴らしさを私は淋しい気持ちで見送るばかりであった。以前は親しく相談をされたり、なんと言っても隠された嗜好であるSMをした間柄なのに今はなんとよそよそしいことか。よそよそしいどころか間違いなく私を煙たい存在だと思っている様子がありありと伝わってくる。私とのことはいかにも彼女の人生の消し去りたい汚点となっているかのようであった。社長室の前を通ると、医者の良一と麻由美の笑い声が聞こえてきた。二人して結婚式の打合せでもしているのであろう。私は胸の締め付けられるような孤独を感じるのであった。
都心の一流ホテルで医者の戸田良一と麻由美の婚約披露のパーティがフロアを借り切って行われたのはそれからしばらく立ってからであった。
| 麻由美の場合
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2008.03.28 Fri
麻由美とSMパートナーという関係になったとはいえそれはたかだか半年ばかりの間であった。そのわずか半年ばかりが私にとっては楽しい期間であった。麻由美の象牙色に澄んだ繊細な線を持つ頬や抒情的な翳りを持つ瞳を見つめて美術品を前にするような嬉しい一時を過ごすのである。私にとっては麻由美は良家の令嬢であり、いわば高嶺の花であることは分かりすぎている。しかし私は限られたその時間、その空間の範囲内で空想的な恋心さえ満たそうとしたのだった。思い上がろうとする気持ちは全くなかったのである。今までたいして女性にも全く相手にされなかった面相の悪い男がロマンスをする夢を賢明に描いていたと言える。
月に一度の甘美なSMプレイの後など、しばらくは麻由美のすらりと伸びた肢体や美しい容貌が脳裏に浮かび上がって胸苦しくさえなり、ふと、習性にななっている手淫をまた始めることになってしまう。私は性に目覚め始めた頃より自慰行為を演じる時は嗜虐的な妄想に耽るという変質的な性癖を持っていた。竹藪に連れ込まれて雲助に凌辱される武家娘、また憲兵に拷問部屋に連れ込まれていやらしい尋問を受ける女スパイ、そうした場面の情景は団鬼六の小説からの連想かもしれないけれど、私は美女が悪漢にいたぶられて羞恥に悶え苦悩にうめく場面を妄想すると欲望は一層の高ぶりを示し出すという性的な趣味を中学時代にははっきりと自分のものにしていたのである。
麻由美とSMプレイをしたとは言っても、プレイをリードするのはいつも麻由美の方であった。また禁止行為も多く、まさにサービスのSといえるものであった。私の思うようにはさせてくれなかったのである。それでも麻由美の悶える表情や縛られた姿は私の妄想を刺激するには充分であった。
それで、今、麻由美が医者の戸田良一と婚約するというメールを貰うと、私は全身からすっと力が抜け落ちた気分になったのである。
| 麻由美の場合
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2008.03.27 Thu
「妄想の女」麻由美について書こう。。
ふふふふふ。。。。。
麻由美が医者である戸田良一と正式に婚約したというメールを貰ったのはつい最近のことである。
麻由美は、あるファッション系商社の社長秘書をしていたことがあり、そのころの麻由美は社内随一の美人と定評があり、会社の出したポスターのモデルまでつとめたくらいである。カソリック系の女子大を出てからすぐにこの商社に入社し、最初は輸出関係の部門で仕事をしていたが、美人であり、日本人離れしたすっきりした肢体、しかも、なかなか頭も切れると言うところから次第に抜擢されて入社して二年目にはフランスにファッションの視察旅行にも行かされた。
フランスから戻ればすぐに社長秘書という席が待ち受けていたのだ。
とにかく女は美人に生まれなきゃ損ね、と会社の女子事務員達はやっかみ半分で寄ると触ると麻由美の出世話を噂しあっていたようであった。
私はこの頃この商社と取引があって、麻由美が社長秘書になる前の一時期、私の会社の担当になった時があり、私の会社の仕入先の営業担当として麻由美と出会ったのである。
はじめて私の会社に挨拶に現れた時、白のブラウスに黒色のスーツ姿で私の前に現れた麻由美の美貌と肢体のなよやかさを私は今でもはっきり覚えている。砂を噛むような味気ない日々にいい加減うんざりしていた私の胸にうすら冷たく象牙色に住んだ彼女の美麗がじーんと突き刺さり、私は一瞬、白昼夢を見たようにその場に立ちすくんでしまったのだった。
その後、麻由美と私はなぜか気が合い、いろいろな相談を受けるようになった。彼氏の不甲斐なさや、人の下で使われる不満などなど、私の会社に営業に来る度に個人的な相談をしては帰って行ったのである。そのうちに小さくてもいいから自分の会社を持ちたいという夢を相談され、会社設立の準備の手伝いや、会計士や司法書士の紹介などもして彼女の信頼をますます得ていったのである。会社を辞めて独立したいという彼女の願いは実力や能力から言って当然のことだと思われた。だから私は彼女の才能に尊敬さえするようになり、彼女の新しい会社の資本も一部出資したのだった。
そんな中、麻由美と二人で食事をしていた時に、私は酒も入っていたこともあって、「SM BOOK」というサイトを開設していることをしゃべったのだった。ビジネス相手に私の隠れた嗜好であるSMについては語らないのであるが、彼女の会社の資本の一部を出したという、ある意味仲間意識もあったのでつい口に出してしまったのである。
一瞬しまった!と思ったが、以外や麻由美にもMの隠された嗜好を打ち明けられたのである。この面でも麻由美と意気投合し、彼女とはSMプレイをする間柄となったのである。
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