不合理な構造
男にとって女体は様々な幻想がまとわりついた特殊な商品のようであり、売り手が簡単に与えてくれれば、幻想が剥がれて商品価値が下がり、商品としての魅力がなくなる。手に入れるのが難しければ難しいほど商品価値が上がるのと似ている。もし男の性欲が本能に基づく自然な欲望であれば、そのようなことになるはずがない。付加価値など付かないはずである。本能ではない幻想に基づく性欲であるからこそ、その対象は「実用品」ではないのである。
女体を商品に例えるなら、原価から引き出した妥当な安い値段ではかえって売れず、べらぼうに高い値段を付けた方がよく売れるある種のブランド品とよく似ている。
男女関係のこういう不自然な構造はもちろん人類に普遍的なものではなく、性的なことの禁止が男の性欲を高める主要な手段となっている文化、すなわち西欧特に近代西欧の文化に特有な構造ではないかと思われる。
つまり性的なこととは無縁のように見える清純そうな乙女や、近寄りがたい貴婦人や、セックスなんか許してくれそうにない貞女などに情熱をかき立てられるのは、その種の女に性的なことの禁止を見るからであり、性欲の出発点が禁止を打ち破ることにあるからである。したがって、女を口説き落とすことは征服することであり、彼らの誇りはまさしく禁止を打ち破ることが出来る己の力なのである。
そのような社会においては、女は安っぽく見られて大損するより、自分をいかに高く売り込むかという意識が自然と身についてしまうのである。女がずるいというよりむしろ、女の性欲を禁止する抑圧的な文化の犠牲者であるといえるかもしれない。
このような文化の中では、女は、己の性欲を当然のものとして意識することが許されない。性欲は抑圧される。抑圧された性欲は無意識の中で存続し続け、無意識の背後から彼女の態度や行動を動機づけるが、それを彼女は性欲の表れとは自覚しない。ここに男と女の間に不可解な溝が構築されるのである。
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| 性的SM論 | 10:27 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
全ての人間の奥底には性的な要求だけが渦巻いている..というような事をフロイトは述べておりましたね。個人的にはSMは動物界の中でも知性の高い人間だけが為し得る「性」だと思っております。私のとってはお遊戯です。今回の鬼縄さんのお話も興味深いですね。昔、とある男性に「貴女は自分を安売りしすぎる」と言われたことがあります。只、色んな方と楽しそうに話していただけなのですが、その方いわく、それが安売りだと。
女はつんつんしていたほうがモテルと言われました。でも、それって、人として失礼ですよね?。高く売るって..どういうのでしょうね?
。「私、世界中のダイヤモンドを集めて、全部で3トンのダイヤモンドを私に贈っていただける方としかSMしませんわ。」みたいな?。誰にも相手にされないような気もします(笑)。鬼縄さんは、どうしたら女性が高く売れると思いますか?。
| 真由美 | 2007/04/26 00:49 | URL | ≫ EDIT