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鬼縄のSM blog(FC2改)

鬼縄のSMブログです。淫靡な妄想の世界を彷徨っています。

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ボートの話。。

私は水の上のボートで生きている水上生活者だ。
陸の上では生きられない。
だからボートにのっている。

陸で住んでいる人間達から見れば変わり者に映るでしょう。事実変わっているからいいのだけど。
ボートで生きている人間は昔は少なかった。
周りを見渡しても俺と同じようにボートに乗っている奴なんていなかった。
でも最近嬉しい事に私と同じようにボートで生きている人間を良く見るようになった。
寂しくなくなった。。


同じように陸では生きられない人間がいる。
陸では生きられないのに、ボートも持つことを許されない人達がいる。
彼らはボートをもてないから泳ぐしかない。

泳ぐ人間も昔は少なかった。
周りを見渡しても全くいなかった。
みんな陸の上で生活しているんだ。ボートを持てないのにわざわざ水の中に入ることはない。
そんな変わり者なんかいないと思ってた。

私は気がついたらボートを持たされていた。
だから水の上で生きている。。。


でも最近、泳ぐ人達を見かけるようになった。
私と同じように水の中で生きるもの達だ。
一生懸命泳いでいる。
どこに行きたいんだろう。どこまで泳ぐんだろう。

私はボートに乗っている。
時々、泳ぎに疲れた奴が私のボートに近づいてくる。
私のボートでちょっと休みたいのだろうか。
いいですよ。 お休みなさい。
でもボートには乗せてあげないよ。
沈むからね。私は泳げないんですよ。
私はボートの縁につかまって、休む事だけを許可する。
少し休んだらまた自分で泳ぐんですよ。
私に出来る事はボートの縁をつかまらせて上げる事と、それとしばらく泳ぐ奴と一緒に水の上を進むこと位だ。
さあ。一緒に向こう岸まで行きましょう。


そのうちに何故か無性に泳ぐ奴の邪魔をしたくなる。
一生懸命泳いでいるのを見ると棒でつつきたくなる。
困った性分だ。
それでもなお必死で泳ごうとすると、今度は棒で叩きたくなる。

時々奴は水の中に沈む。
それでも浮かび上がってなおも泳ごうとする。
また、叩く。。。
中には沈んだっきり浮かんでこない奴もいる。

溺れてしまったんだろうか。
それともこんな私のボートの近くにいたら溺れてしまうから、潜って逃げたのだろうか。

泳ぎが上手くなって、私のボートより速く泳げるようになる奴もいる。
奴はどんどん私のボートから遠ざかっていく。
もうつつけない。もう叩けない。。。。

私のボートの周りには誰もいなくなる。。。


私はボートにひとを乗せない。

でもボートにひとを乗せる奴もいる。
泳ぎに疲れた者たちは乗せてくれるボートを探す。
乗せてくれますか?

親切に泳ぐ者たちに声をかける奴もいる。
乗せてあげようか?

もう泳がなくていいんだよ。
僕のボートで向こう岸までゆこう。。
ゆっくりおやすみ。。
僕が連れてってあげよう。向こう岸まで。。
一緒にいこうね。


泳ぎに疲れた者たちは乗せてくれるボートを探す。
俺はのせない。。

泳ぎに疲れた者を乗せたボートがいる。
泳ぎに疲れた者たちは乗せてくれるボートを探す。
泳ぎに疲れた者を乗せたボートの周りに疲れた者たちが集まりはじめる。
乗せてくれますか?

親切に泳ぐ者たちに声をかける奴もいる。
乗せてあげようか?


俺は泳ぎに疲れた者を乗せたボートを探す。
そのボートを見ているのが楽しいからだ。

ひとりしか乗せないボートがある。
向こう岸まで行くのだろうか。
向こう岸まで行けるのだろうか。。
私はボートの行先を知らない。

そのうちにそのボートはいなくなる。
私の視界の外に出たのだろうか。
私はまだ向こう岸を知らない。
だから、
私はボートの行先を知らない。


俺は泳ぎに疲れた者を乗せたボートを探す。
そのボートを見ているのが楽しいからだ。

大勢ひとが乗っているボートがある。
あんなに乗って向こう岸まで行くのだろうか。
あんなに乗って向こう岸まで行けるのだろうか。。

ボートは進めなくなる。
ボートが沈みはじめる。。

俺はのせない。。
ただ、見ているだけだ。


ボートが沈みはじめる。。

沈みはじめたボートからひとが水の中に飛び込む。
つぎつぎと飛び込んでいく。
おろされているのだろうか。
自分から降りているのだろうか。
俺にはわからない。。

俺は沈みそうなボートを探す。
そのボートを見ているのが楽しいからだ。



ボートに乗った者は泳ぎを忘れる。
ボートを持ったものは泳げない。

もう泳がなくていいんだよ。
僕のボートで向こう岸までゆこう。。
ゆっくりおやすみ。。
僕が連れてってあげよう。向こう岸まで。。
一緒にいこうね。

だから泳ぎを忘れる。
ボートを持ったものは最初から泳げない。

俺はボートにひとを乗せない。
俺は泳げないからね。



ボートが沈むのは誰のせいだろう。。
乗せた奴が悪いのか。
乗った奴が悪いのか。
泳ぎに疲れた者達をボートに乗せるのはいけないこと?
助けを求める心は悪いこと?
たくさんひとを乗せたから?

でも、ボートは沈む。

ボートと一緒に沈む?
ボートと一緒に溺れる?
それとも、
向こう岸まで泳ごうか。
それとも、
沈まないボートを探す?

ボートは沈む。
俺のボートはひとを乗せたら沈むボートなんです。
だから、俺はボートにひとを乗せない。
俺は泳げないからね。
私はボートの縁につかまって、休む事だけを許可する。
少し休んだらまた自分で泳ぐんですよ。

私に出来る事はボートの縁をつかまらせて上げる事。
それと泳ぐ奴と一緒に水の上を進むこと。
さあ。一緒に向こう岸まで行きましょう。


ボートは行先ではない。
ボートは見果てぬ向こう岸までいく乗り物ですよ。
ボートに乗ったからといって、安心は出来ない。
ボートは沈むこともあるからね。

あなたはボートが好きなの?
それとも向こう岸に渡りたいの?

誰も乗っていないボートが浮かんでいる。
もうボートはいらなくなったのか。
向こう岸まで辿り着いたから?
それとも溺れてしまったから?

俺はボートが好きだ。
ボートに乗っているのがいいんです。
陸では暮らせない。
昔からそうだった。
向こう岸が見えても俺はボートから降りないよ。
陸では暮らせないからボートに乗っているんです。



向こう岸の話。


誰か見たひといますか?
辿り着いたひと知ってます?

俺は知らない。
だって陸では暮らせないから。

陸で暮らせるのなら、わざわざ水の中に入ることないよ。
向こう岸も結局「陸」じゃない。
だから俺はボートに乗っている。。。

一緒に水の中を彷徨おう。
陸で暮らせないのなら・・・・・・。。。。
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COMMENT

はじめまして。
ひきこまれるような文章でした。
ボートの話。
綴り方を影響されそうです。
自分表現をしっかりできる術を身につけたいと、ふと思いました。
またお邪魔させてください。

| 咲枝里 | 2004/10/03 06:16 | URL | ≫ EDIT

稚拙な文章にこのようなお褒めをいただくと、嬉しさと共に少々気恥ずかしい思いがします。
抽象的な文章ですからどのように受取っていただいても構わないのですが、私としてはSMを依存や寄生の具にして欲しくない気持ちで書いたつもりです。
その意味でこの文章から、ご自分をしっかり表現されることを思っていただけたことはとても嬉しいです。
己のことを把握することはなかなか難しいことではありますがSMには大切な気がするのです。

| 鬼縄 | 2004/10/03 12:03 | URL | ≫ EDIT















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